***7
「ジロちゃん、起きて」
「んー……もう少し」
「駄目。朝練に間に合わないでしょ」
「むり、ねむい……」
「……もー、仕方ないなあ」
は布団を捲り、おれの額にちゅ、と音を立てて触れる。柔らかい感触に飛び起きるとは微笑んでいた。
「起きた?」
その頬はうっすらと赤く。おれは額を思わず押さえる。
「起きた……」
「じゃあ早くごはん食べて。用意しよ?」
「うん、、今の、」
「なあに?」
「今、……キスした?」
は頬を染めたまま楽しげに笑った。
「眠り王子の目を覚ますにはキスしかないでしょう?」
「……おれが王子?」
「そう。さしずめ私はいばらを乗り越えてくる騎士ってところだね」
「騎士……お姫さまじゃなくて?」
「うん、似合うでしょ?」
……確かに、似合うけど。
は布団を剥ぎながら言った。
「ほら起きて。本当に間に合わなくなっちゃう」
「あ、うん」
「先に下に降りてるねー」
「うん」
……ひょっとして。
鬼はおれだと思ってたけど違ったのかも、しれない。おれが、捕まえたと思っていたけど、本当のところは、もしかして。
「やられた……」
完敗だ。やっぱりには叶わない。じわじわと湧き上がってくる笑いで着替える手が震えそうだった。それでも何とか着替えをして下に降りると、は笑う。
「ほら、ジロちゃん早く」
変わらない朝の光景。だけど、変わったこともある。
まだうっすらと赤いの頬とか、これから手を繋いで学校まで行こうと思っている事とか。
……鬼がどっちとか、どうでもいいや。
おれは緩みそうな頬を必死で抑えながらからカップを受け取った。
('06.3.28)
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タイトルは「目隠し鬼」のことです。響きが可愛いなあと。
あまり起伏の無い上、ドリームっぽくない話だったにも関わらず最後まで読んで頂き有難うございました。
以下、いつものごとく蛇足です。
忍足夢「期間限定」を書いた時から、ジロちゃんを書いてみたいとずっと思っていました。そんな折、眼鏡を取り上げるシーンを思いつきまして(6話目)。
ジロちゃん、もっと黒い子だと実は思うのですが(笑・ガクプリの影響か?)、これはこれでありかなと。黒いジロちゃんも書いてみたい……。
そしてジロちゃんは一人称表記が「おれ」なのがこだわりです。ひらがな。
(忍足や仁王だと「俺」、赤也だと「オレ」なのです、私の中では)
今回初めて完結させずに連載を始めたので、非常にどきどきしていました(いつもは、とりあえず最後まで書き上げて、修正しながらアップしています)。
最初と最後は書き上げていたのですが、途中が全然出来てなかったのでどうなる事かと思っていたのですが、何とか完結出来てほっとしました、本当に……!
ええと、またか、と思われそうなのですが、ヒロイン視点も書くつもりです。ヒロインの友達の話も。
その為の伏線を、ちょっとだけ、張ってます。大した事無い伏線なんですが、張った気で居ます(笑)。
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