塔から降りて・3
年齢が上がれば上がるほど、”あの事”は私を苦しめた。それがどういう事か、分かって。
……何ていう事をしてしまったんだろう。
私の中にあったのは、興味や好奇心。こんなに大それた事だとは知らなかったのだ。でも、知らなかったからと言って、過去は、罪は消せない。
知らないという事は、罪。無知な私は、彼を誑かし、唆してしまった。ひとつとは言え、私は年上であったというのに、赤也を、大切なあの男の子を巻き込んでしまった―――。
***
初めて男の人と躰を交わしたのは5年前のこと。仲の良い友達よりも誰よりも私の近くに来た人。逢う事も無くなった今でも大切なその相手は、ひとつ年下の幼馴染だった。
寒さも薄らいだ、冬の終わりの晴れた日だったと思う。どういう事か分からないまま、漫画で知ったその事を幼馴染の赤也に得意そうに教えると、赤也は何気ない口調で、してみる? と訊いた。私は迷った末、それに頷いていた。
ぞくぞくするようなあの日の快感を私は忘れた事が無い。
溶けそうになった私の躰の熱も、血を流した事も。
まだ幼さの残る手が服を脱いだ私の躰に触れた。
「ひゃっ、」
「え、まだ何もしてないよ?」
「……赤也、手冷たい」
「ごめん。……ちゃんの胸、柔らかいね」
「そう、かな」
手は下に下に降りていく。膨らみかけた胸から、脇腹に、腰に。唇を重ねられた時はさすがに驚いて言った。
「……赤也、キスは大好きな人とするんだよ」
「オレ、ちゃんの事大好きだもん」
「……私も、赤也の事、すき」
「じゃあ、いいじゃん」
「そっか」
お互い顔を見合わせて、笑った。ただ合わせるだけだった唇は開かされ、何時しか舌を絡めていた。きたない、とか、きもちわるい、とか、そんな感情は一切感じる事無く。胸の先を舐める舌が、胸に触れる髪がくすぐったくて身を捩る。
「こ、こそばゆい」
「ここは?」
脚の間に指が触れた時、躰の奥から溶けだすように何か溢れたのが分かった。遠慮がちに差し入れられた指がどんどん私を蕩かしていく。呟きのような声を漏らすと気遣うように口付けられた。頭の芯が痺れるような触れ合いに私の躰は自然とたわむ。
「……ちゃん、大丈夫?」
あがる呼吸と体温。
躰の奥底に感じるもやもやしたものは、私の意識を攫おうとする。
「うん。変、な感じだけど、ちょっと、気持ち、い……」
「オレも」
赤也は笑い、続けていく。
「……これくらいすれば、入るかな」
「……う、ん」
そうして、私の躰は彼の躰を受け入れた。
('05.2.28)
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